九州唯一の樽職人が生む癒しの香り。186年の歴史と米どころのプライドが詰まった蔵元
株式会社杵の川
2026.5.22
九州唯一の樽職人が生む癒しの香り。186年の歴史と米どころのプライドが詰まった蔵元
諫早市にある「株式会社杵の川」をリポートするのは、俳優の白須慶子さんと、元NBC長崎放送リポーターの荒木美帆さんです!
長崎県の中央部に位置する諫早市。県内有数の穀倉地帯であり、美味しいお米と水、そして有明海の豊かな海産物に恵まれたこの土地で、天保10(1839)年から186年という長きにわたり酒造りを続けているのが「株式会社杵の川」です。九州で唯一の樽職人から生み出される特別な樽酒の香りや、地域一体となって取り組む農業・酒造り体験など、新しい展開に目が離せない蔵元です。

昭和の高度経済成長期に活躍した黄色い洗瓶機。リノベーションされたバーのシンボルに!
米どころの風土を味わう
初代の蔵元である瀬頭彌八氏が、お米が豊富にとれる穀倉地帯で酒造りをしようと、諫早で蔵を起こしたのが始まりです。
「諫早はお米も非常に獲れる所で、有明海に面し、食べ物とお酒は切り離せない関係なので、風土を考えて諫早が良かろうと選んだんだと思います」と話すのは瀬頭信介社長。
蔵のすぐ横には、一般の米より30〜40cmも背が高い酒米「山田錦」の青々とした田んぼが広がります。
「普通は食用米しか見ることないからすごいですね。すぐ隣が田んぼだったんですね」とリポーターの白須さん。
「今、農業を通じて酒蔵を体験するというイベントを一年通じてやっているんです。田植えをして、稲刈りして、次の年は酒造りして、最後にはそのお酒が家に届くという。全3回の工程を1年かけてやっているんです」と瀬頭社長。
「ええ、手植えしてるんですか!やりたい!」とリポーターの荒木さんも大興奮!

手植えをする山田錦。社長自身が農家の大変さを噛み締めながら米を育てています。
九州唯一の樽職人
杵の川を訪れたならば絶対に見逃せないのが、杉の香りが漂う「樽」の製作現場です。実はこちらの酒蔵、なんと九州の日本酒蔵で唯一「樽職人」を抱える貴重な蔵元なのです。
「鏡開きなどの祝い事で使われる一升瓶100本分(一石)の酒樽を、長い竹を割って編み込む“タガ”作りから全て手作業で行っています。樽職人も、今75歳。後継者問題が結構大変で……。甥っ子さんが修行中ですが、非常に希少価値の高い仕事なので、なるべく絶やさないようにしたいですね」と瀬頭社長。
「杜氏の技術と樽職人の技術で香りが結びつき、うちならではの樽酒の香りが出来上がります。先人が残してくれた設備で、最大限美味しいお酒を造るということをテーマに、私と兄妹3人、蔵人やスタッフたちと頑張っています」と瀬頭社長の目が輝きます。
「今のお話聞いた後に試飲できるのがすごい嬉しいです!歴代への愛が全部こもっています」とリポーターの白須さんも大感激。
竹でタガを編み込み、一つ一つ丁寧に組み上げられる樽。杉の極上の香りが蔵を包みます。
諫早名物「うなぎ」と「樽酒」
いよいよ試飲へ! 最初は吉野杉の杉材をグラスに入れた樽酒で乾杯です。
「おしゃれ!もう香りがすごい!日本酒の香りって好きなんですけど、さらにプラスアルファで杉の香りが広がり、もう癒しですね」。リポーターのお二人も笑顔が弾けます。
吉野杉の樽に漬け込んだ『杵の川 樽酒』に合わせる料理を社長が提案。「諫早市はウナギも名物なんですよ。焼いたウナギを、蒸気が出る特殊な器に乗せて蒸す「楽焼(らくやき)うなぎ」という名物がありまして。山椒の香りの代わりに杉の香りでさっぱりしていただくといいですよね」。
「それ絶対美味しいです!」とリポーターの荒木さんも納得です。
甘酸っぱくてキレのある最高峰の大吟醸『丁子屋』には、鯛やイカなど有明海や橘湾で取れた新鮮な「白身の刺身」を合わせるのが正解。5~10度前後にキリッと冷やして合わせれば、甘くてキレのある旨味が魚の良質な脂と見事に調和します。

口に含んだ後にふわっと香る芳醇な杉の香りが堪らない『樽酒』。
良か人を育む酒造り
杵の川のお酒造りの根底にあるのは「良か人と良か酒を育む酒蔵」という温かい企業理念です。
「まず“良か人”とは、謙虚であり、話しかけやすく、思いやりがある人のことです。そして“良か酒”ですが、うちは地下水を100%使い、仕込み水も生活用水も全て地下水でやっていて、我が蔵の生命線になっています。地下水がとても柔らかい軟水なので、割と甘口のお酒ができやすいですね」と瀬頭社長。一番下の妹さんが長崎県内で初めての女性杜氏として活躍していることも、良か酒造りにつながっているのでしょう。
瀬頭社長にとって酒造りとは、「お米づくりから農家さんとのコミュニケーション、そして出来上がったお酒をテイスティングするまで全てが楽しい仕事ですね。大変な時もありますが、好きであるというのが一番大事かなと思います」とのこと。
「そんな瀬頭さんをまず好きになっちゃうし、この蔵のこと、そしてこのお酒を好きになるんですよね」とリポーターふたりが話すように、人への魅力も尽きない蔵元なのです。

坂本龍馬が3歳の頃に創業したブランド『純米大吟醸 丁子屋』。全国新酒鑑評会で、県内唯一、金賞の栄誉に輝きました。
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