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五島地区

白い砂浜に透き通る海と豊かな緑。古くからの歴史と祈りが刻まれた楽園には、受け継がれ続けた人々の暮らしが息づいている。

五島地区

白い砂浜に透き通る海と豊かな緑。古くからの歴史と祈りが刻まれた楽園には、受け継がれ続けた人々の暮らしが息づいている。

2023.10.11

長崎港から西へ80~100km、楽園がそこにある。大小約150の島々に、古くからの歴史と祈りが刻まれ、受け継がれ続けた人々の暮らしが息づいている。

五島市
五島列島最大の「福江島」を中心に、10の有人島と53の無人島で構成される五島市。市町村単位で有人島数は日本一。紺碧の美しい海と緑豊かな自然が溢れ、穏やかな時間が流れる島々は多様な文化や弘法大師空海のゆかりの地など古い歴史を持ち、集落や教会は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産となっている。
五島市 五島市 五島市
新上五島町
五島列島の北部に位置し、中通島を中心とした8つの有人島と60の無人島から構成される新上五島町。大部分が西海国立指定公園に指定され、断崖から眺める、エメラルドグリーン色の透き通る海、そして深い緑の山々が織りなす景観が特徴的。新天地を求め移住してきた潜伏キリシタンが守り続けた集落と教会は世界遺産。古くからの文化がこの町の魅力を伝えてくれる。
新上五島町 新上五島町 新上五島町
小値賀町
小値賀島諸島は重要文化景観に指定され、懐かしい日本の原風景が残る「日本で最も美しい村」にも加盟している小さな島。小値賀町へは九州本土から西へ約50km、五島列島の北部に浮かび大小17の島々で形成される。かつて火山の噴火によりできたこの島は独特の景観や海岸が美しく、島全体が西海国立公園に指定されている。
小値賀町 小値賀町 小値賀町

海路は長崎港、佐世保港、博多港から。長崎・佐世保港からは高速船が出ており、約1時間30分で往来ができる。博多港からは約8時間の旅となり、比較的アクセスが良い空路もおすすめ。福江島の五島つばき空港と福岡・長崎空港を約40分で結ぶ。冬は暖かく夏は比較的涼しい海洋性の気候で、年間の平均気温は17.6と過ごしやすい。

風土

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五両ダキ(小値賀町)
五両ダキ(小値賀町)
火山により形成された小値賀島。「ダキ」とは崖を意味しており、五両ダキは数ある噴火口のひとつが海水に侵食されてできたとされる。上からの景色も圧巻だが、砂浜に降り崖を見上げるとその迫力と美しさに驚かされる。
鬼岳星空(五島市)
鬼岳星空(五島市)
星空の絶景スポットとして知られる鬼岳は、五島市福江島のシンボル。澄み渡った空気の向こうに天の川を肉眼で見ることができるほどで、九州でも有数のニュートン式反射望遠鏡を備える鬼岳天文台では、迫力の星空観察を楽しむことができる。
堂崎教会(五島市)
堂崎教会(五島市)
禁教令が解かれ、五島キリシタン復興の中で建造された教会堂。五島における最初の天主堂として建てられた当初は木造で、赤レンガの壁にこうもり天井、イタリアから運び込まれたステンドグラスといった現在の姿に完成し、歴史を感じさせる。
地元民に愛されるハンマナ(新上五島町)
地元民に愛されるハンマナ(新上五島町)
新上五島町の海岸ルートにあり、ライオン島が目の前に浮かぶビーチ。真っ白な砂浜と水色に透き通る海は、まるでリゾート地に来たかのような美しい絶景が目の前に広がる。観光客にはあまり知られておらず、ゆっくりとした時間が流れる地元民に親しまれるビーチ。
新鮮で旨い魚が集まる
新鮮で旨い魚が集まる
豊かな水産物は、海流によるもの。黒潮本流から分岐して北上する対馬暖流と、列島付近にできる沿岸流が大量の回遊魚を運び込み、また、北から南下してくる北から南下してくるリマン海流とぶつかることで発生するプランクトンが、五島近海に多種多様な魚を呼び寄せる。

五島地区

美食を知る

WISDOM OF FOODS

五島手延うどん

強いコシにつるりとしたのどごし、五島手延うどん。長崎県の麺料理としてちゃんぽんや皿うどんが有名だが、知名度を高めつつある五島手延うどんは、讃岐うどん、稲庭うどんと並び『日本三大うどん』のひとつに数えられるほど。

▶︎【五島は日本最古うどんの発祥地!?】

▶︎【五島の自然の恵みが生み出す、自慢の麺】

▶︎【伝承される 手延べの技】

▶︎【もちっ。つるっ。透き通るように細いめん】

▶︎【現地で食べて欲しい地獄炊き!?】

五島は日本最古うどんの発祥地!?

五島うどんのルーツを遡ると、遥か遣唐使の時代。遣唐使船の寄港地となっていた上五島に、最初に大陸の製麺技法が伝えられる。その手延麺の製法は、長い時間をかけ上五島の風土に根付き、島に生きる人々により守り受け継がれ、現在の五島手延うどんへ。(諸説あり)

五島の自然の恵みが生み出す、自慢の麺

厳選した小麦粉に、ミネラルたっぷりの五島灘の天然塩、そして五島うどん最大の特徴である特産の椿油。五島の山々に自生する椿から得られる良質の椿油を生地に塗りながら延ばし束ね、作業を繰り返し細い麺に。オレイン酸を豊富に含む椿油が麺の酸化を防ぎ、味に深みを持たせてくれる。

 

伝承される 手延べの技

棒状にした生地を、椿油を練り込み、乾燥する際にも椿油を塗りながら麺伸ばす。本の箸にかけ手で引き延ばしては束ねる。繰り返しながら熟成させ、細く紐上にし乾燥させ麺を形成していく。丹念な手作業による「手延べ」製法の五島うどん。その旨さのひみつは、親から子へと伝承されてきた。

もちっ。つるっ。透き通るように細いめん

製法の過程で何度も熟成を繰り返し、最後にはじっくりと乾燥。透き通るほどに細く白い麺、つるんとした艶ともちもちとした強いコシがある食感、奥深い味わいが独特な魅力。

現地で食べて欲しい地獄炊き!?

地獄の釜のように煮えたぎるお湯に、うどんをグツグツと煮ながら食べる「地獄炊き」は地元で定番の食べ方。麺がのびにくいという特徴を活かした郷土料理で、鉄鍋から麺を取り出す「うどんすくい」も島民考案。まずは、五島沖で獲れるトビウオを焼き煮出して作る、黄金色の旨みたっぷりのあごだしで。生卵に絡めて食べるのもまた、絶品。

かんころ餅

五島列島に暮らす人々のソウルフード、かんころ餅。長崎県のお土産としても人気なこの郷土菓子は、五島列島を代表する特産品のひとつ。素朴な魅力がたっぷり、もっちり。

【ルーツ】

▶︎【家族愛の形】

▶︎【五島の恵みから】

▶︎【知って欲しい。かんころ餅の魅力】

▶︎【美味しい旅の思い出を】

家族愛の形かんころ餅

家族全員が冬の間十分に食べられるようにと、先人の知恵でうまれたかんころ餅。高価なもち米を少なくし、さつまいも芋を加工して作る「かんころ」を混ぜて餅にする。五島地方の冬期の保存食として、各家庭で作られ引き継がれてきた郷土菓子で、五島のみんなが記憶しているその味は、ふるさとのシンボル。

五島の恵みから

「かんころ」は五島地方の方言で、さつまいもを薄くスライスしたものを湯がき、天日干ししたもののこと。五島の大自然で育った甘いさつまいもをかんころにし、潮風に吹かれミネラルたっぷりに実ったもち米と一緒に、つきあげる。香り良く、彩りも可愛らしいかんころ餅は、愛情を注いだ手作りでできあがる。

近年バリエーション豊かになったかんころ餅。プレーンはもちろん、ヨモギ入り、紫芋、きなこ、ショウガ入り、ゴマ入りぜんぶ、魅力的。

知って欲しい。かんころ餅の魅力

まずは「焼く」定番、香ばしくもっちり素朴な甘さ。外はカリッと、中はもっちりとした食感。焼き芋のような味わいで、アツアツになったら「バターのせ」てリッチに、まろやかに。色々なアレンジで味変して楽しむ事が出来る。

美味しい旅の思い出を

島に暮らすかんころ餅名人と一緒に、美味しい旅の思い出をじぶんの手で。昔ながらの石臼と杵を使って、島でしか味わうことのできない、絶品できたての柔らかさを堪能して。

五島のお酒(クラフトジン・ワイン)

物語のあるお酒を作りたい

本当によいお酒を、土地の風土に根ざした究極のお酒を、「だれか」を幸せにする物語に満ちたお酒を、つくりたい。溢れる情熱を持つ3人の作り手が全国の中から蒸留の地に選んだのは、五島列島半泊地区。湧き出る軟水、豊かに育つボタニカル、何よりも、五島の椿。そして胸を熱くする潜伏キリシタン祈りの歴史。大手酒類メーカーを脱サラし、立ち上げた五島つばき蒸溜所でつくる究極のクラフトジン、GOTOGINの物語。

土地の風土に根差した究極のお酒

五島椿をキーとしてつくられるGOTOGIN。ハンドメイドされた蒸留器は椿のタネがモチーフ。椿の炭で濾過される、島の湧き水「超軟水」も特徴に、素材をひとつひとつ丁寧に蒸留する。ラズベリー、アーモンド、ジュニパーベリー、五島のゆず、そして椿…17種類ものボタニカルをそれぞれの素材にとっていちばんの方法で成分を抽出。20を超える原酒を、素材の個性がたっぷりと濃縮され、飲み飽きることのないバランスの取れた美味しさを追求しブレンドされる。ボトルは椿の花をモチーフにデザインし、色は目の前の海のエメラルドグリーンを表現するなど椿の花で包み込むというテーマのボトルは、とてもきめ細かい。びんの色は、蒸溜所の目の前の海のエメラルドグリーンを表現している。びんメーカーの職人が100日以上をかけ実現されたボトルは、その美しさで、第19回ガラスびんアワードで最優秀賞に選出された。

隅々までこだわり抜いたクラフトジン。

 

土地の育んだ歴史や個性が情熱の作り手を呼び、島の豊かなボタニカルと向き合い、確かな技術に練られて完成したGOTOGIN。その物語を濃く伝える香り豊かなストレートで、堪能してほしい。

五島ワイン

五島の気候が生み出す、島の葡萄

雨や霧が多く高温多湿と、本来ワイン用の葡萄を育てるには非常に難しい五島の気候。それでも、火山灰土壌で水捌けは良く、日照時間も長い。そして海から吹き上がる潮風がミネラルを運び、島独特の葡萄が育まれる。青い空と海に囲まれた地形、地産地消にこだわる島への愛が、個性香る至福の一本のボトルへと変化する。五島産100%のキャンベル・アーリーを使用したロゼワインは、島に自生しているヤブツバキの花から採取され「五島つばき酵母」を使い醸造している、ワイナリー自慢の1本。

 

島への想い

島の食卓に並んでこそ。島の方にこそ楽しんでほしい。そんな思いが込められたワインは、日本人が好む味を目指し丁寧に醸造される。そして少しドライに仕上がるその味は、島に揚がるシーフードと相性抜群。五島独自の甘い醤油が欠かせないお刺身も、ワインとしっとりマリアージュ。

  

 

五島の風土を感じて、ワインを楽しむ

日本最西端の五島ワイナリーで、島の息吹をたっぷりと感じながら醸造所見学やテイスティング体験に酔いしれる至福の時間を。じっくりと飲み比べてみて、気に入った一本をお土産に。日本の離島ワイナリーは、奥尻島とここ福江島のみ。五島旅でしか体感できない思い出を味わい尽くしてほしい。

 

他のご当地料理

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さつまいも(甘藷)
さつまいも(甘藷)
甘薯が特産品の五島列島は、長崎の中でも古くからさつまいも栽培が盛んな地域。日本さつまいこサミット2022にて『さつまいも・オブ・ザ・イヤー』『ファーマーズ・オブ・ザ・イヤー』をダブル受賞し日本一となった「五島ごと芋」は、クリームチーズのようなねっとりとした甘さが特徴の安納芋。2年の歳月をかけ収穫するごと芋は濃厚な蜜たっぷり、じゅわ〜と輝く黄金色だ。
椿油(食用)
椿油(食用)
日本有数の椿の自生地として知られる福江島の、ヤブツバキ。木になっている実をひとつひとつ丁寧に手摘みで収穫し、搾油されたオイルは黄金色に輝く。美容で用いられることはもちろん食用としても健康機能性が高く、脂っこさがなく軽い仕上がりに調理できる。
きびなご(きびな)
きびなご(きびな)
鮮度が命の為市場には流通しにくく獲れた地域でしか味わえない贅沢な魚、きびなご。五島列島ではよく食べられており、獲れたてを手開きにして食べる刺身は絶品。ポン酢や酢味噌、生姜醤油で味わうのが地元流。
いさき
いさき
いさきの生産量日本一を誇る長崎県。中でも小値賀・宇久で水揚げされるイサキは良質な脂がのっていると評判。特に厳しい選別基準にクリアしたものだけがブランド魚「値賀咲」として認定されている。生臭みが少なく、身が引き締まっている。旬のお刺身は格別。

五島地区

絶景を知る

WISDOM OF SCENERY

高浜海水浴場(五島市)

五島つばき空港から車で40分程。透き通る波打ち際、エメラルドグリーンの浅瀬が続き、広がるコバルトブルーの大海原。ハマユウやサキシマフヨウの自生群が彩る浜を、緑豊かな山々が取り囲む。美しい大自然を感じられる高浜海水浴場は五島を代表するビーチで、日本の渚百選ほかに選出される。すぐそばを走る国道384号線は絶景を望むドライブコースで、こちらも日本の道百選に。魚藍観音展望所から見渡す景色は素晴らしく、観光客にも地元の方にも愛されており必見。

大瀬崎灯台(五島市)

九州本土で最も遅い時間に夕陽が沈む場所、大瀬崎灯台。断崖絶壁上に立つ白亜の灯台と、広がる水平線が赤く染まっていく景色は言葉にできないほどの美しさで、展望所から贅沢なその瞬間を堪能できる。遊歩道には世界3ヶ所でしか見られない絶滅危惧種「シマシャジン」が自生しており、9~10月に小さな紫色の花を咲かせる。映画「悪人」のロケ地としても知られており、多くの人が訪れる人気のスポット。

キリシタン洞窟(新上五島町)

厳しい弾圧から逃れるために断崖の洞窟に隠れた信徒だが、発見され処罰された遺跡。信仰を守り抜いてきた先人をしのび、洞窟の入口に十字架とキリスト像が建てられた。年に1回、11月にこの地でミサが捧げられる。船でしか行くとこの出来ない聖地だ。