伝統から生まれる変幻自在の美酒。御神木のパワーを宿す多種多様なお酒造り

梅ヶ枝酒造

大久保 武志

梅ヶ枝酒造

2026.7.17

伝統から生まれる変幻自在の美酒。御神木のパワーを宿す多種多様なお酒造り

長崎県佐世保市にある「梅ヶ枝酒造(うめがえしゅぞう)」をリポートするのは、俳優の白須慶子さんと、元NBC長崎放送リポーターの荒木美帆さんです!

創業は江戸中期の天明7(1787)年。国の登録有形文化財にも指定されている歴史ある酒蔵ですが、ここで造られているのは日本酒だけではありません。「春になれば麦焼酎や米焼酎、夏はウイスキー、秋は芋焼酎、そして冬に日本酒。一年中何かを造っているんです」と話すのは代表取締役の長野哲也さん。日本酒造りのノウハウを活かし、次々と新たなジャンルに挑戦し続ける三兄弟(杜氏の剛士さん、製造責任者の太伸さん)の酒造りと、驚くほど種類豊富な美酒の数々をご紹介します。

国の登録有形文化財に指定されている建物を今でも利用。大正時代の写真からその姿はほとんど変わっていません。

 

梅の枝に込められた祈り

「昔はいいお酒には“梅ヶ枝”という名を付けていました。それをあまりにも頻繁に使うようになったので、屋号まで「梅ヶ枝」になったんですよ」と長野代表。それまでは「長野酒造場」という酒蔵だったそう。「梅ヶ枝酒造」の歴史そのものとも言える御神木の「梅の木」は、なんと今も中庭に大切に保存されていました。「子どものころは丈夫な木でしたが、今は皮一枚でギリギリ繋がっていて、一枝だけが残っています」と老木を労ります。

江戸時代から残る御神木の「梅の木」は、よい酒ができるようにとジンの原材料に使っているそうです。

 

こだわりのウイスキー造り

「今は夏ですので、ウイスキーを蒸留しているところなんですけど、うちの蒸留器って多分皆さんが思ってるものと形が違います。頭(ランプヘッド)が大きくなっているので、そこで冷やされて下に落ちてくる。簡単に蒸留させないぞっていう蒸留器なんです」と話す長野代表が、蒸留器の中で発酵されている様子を見せてくれました。「すごい!ボコボコしている」と白須さん。「一般的なものは1回蒸留しただけではアルコール度数26〜27%にしかならないんですよ。これだと1回で70%ぐらいまでアルコールが上がるんです」と長野代表。2年前にウイスキーを造りはじめ、2025年で3シーズン目になるのだそう。

ランプヘッドを持った日本では珍しいハイブリッド蒸留器にレポーターの白須さんも荒木さんもビックリ!

目指すのは質の高いジャパニーズウイスキー

「どうしてウイスキーを?」と荒木さんが質問すると、「最初は日本酒から始まりましたが、焼酎をやり出して、リキュールもやり出して、ジンもやり出して、そうしていたらウイスキーもやりたいな」と長野代表が照れ笑い。静かに熟成が進むバーボンの中古樽を指さし 「ウイスキーは、3年寝かせたらジャパニーズウイスキーと言えるようになります」と長野代表が工程を熱く語ってくれました。そのチャレンジ精神の高さに荒木さんも白須さんも感心しきりです。

ウイスキーを製造しているタンクを見学。香りを嗅いでみると「すごい甘い香りがする!」と白須さん。

香りを楽しみペアリングを楽しむ

まだ3年しか経っていない中間発表中のシングルモルト『長崎』をテイスティング。まずはスモークされていないノンピーテッドのウイスキーを味わうと「ガツンとしたアルコールを感じます!」と白須さん。「40度以上ありますからね」と長野代表もそのコメントに納得です。まだ樽に入れて4ヶ月という燻製香がガツンと効いたピーテッド(ピート(泥炭)の煙で麦芽(モルト)を乾燥させる製法)のウイスキーを味わった白須さんは「香りが全然違う!」と驚き、荒木さんは「パンチがスゴイ!」と目を丸くします。長野代表がおすすめのペアリングとして、甘いチョコレートや塩気があるナッツ類、干し肉系を提案。まさに大人の愉しみ方です。

ピーテッドのウイスキーを味わった荒木さんが「スモークと香ばしさが、とてもよくまとまっていますね」とほろ酔い気分に。

 

長崎の恵みを凝縮したクラフトジン

もうひとつのおすすめは、長崎県産素材にこだわったクラフトジン『よきつき-令月-GiN』です。「まず長崎県産米で自社の日本酒を造り、そこに長崎県産のみかん、ビワ、イチゴ、レモンを足し、ジンに必要なジュニパーベリーを使っています。さらに、先ほどの御神木から「梅の枝」も風味付けし、蒸留して出来上がったのがこのジンです」と長野代表が丁寧に解説。実際に一口飲むと、「うん!レモン分かります。そして色んなフルーツが入っているんだろうなぁと。でも梅の枝は分かりません(笑)」と白須さん。「梅の枝に関してはおまじないですからね」と長野代表自身も梅の枝の味は分からないと笑います。

レモンの香りが立つ『よきつき-令月-GiN』。フルーツ系と一緒に味わいたいジンです。

 

 

愛とロマンを感じる酒造り

一年を通してさまざまなジャンルのお酒を造っている梅ヶ枝酒造。「いろんなお酒と向き合っていますが、ウイスキーは結果が出るまでに長く時間がかかります。信じてやっていくしかないですね」と話す長野代表に対して、白須さんが「常に前を向いていらっしゃることをすごく感じました」と丁寧な仕事ぶりに感心します。酒造りは神々しく、また日常であると話す長野代表の、ロマン溢れる酒への愛が確かにありました。

 

 

▶︎ 本編動画を見る(巡ろう、長崎の至福の一杯。酒マニア第18話)

 

 

梅ヶ枝酒造

梅ヶ枝酒造

長崎県佐世保市城間町317番地 TEL:0956-59-2311

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