規格外の農作物が美しい雫に生まれ変わる!小さな蔵が挑む変幻自在のどぶろく

でじま芳扇堂

大久保 武志

でじま芳扇堂

2026.7.10

規格外の農作物が美しい雫に生まれ変わる!小さな蔵が挑む変幻自在のどぶろく

長崎市にある「でじま芳扇堂」をリポートするのは、俳優・白須慶子さんと、元NBC長崎放送リポーターの荒木美帆さんです!

扇形をした国指定史跡「出島」にほど近い大通り沿いに、白い暖簾が目に留まる小さなお店が現れます。「えっ、こんな大通りに酒蔵があるの!?」と驚きながら足を踏み入れると、そこは全国的にも非常に珍しい「どぶろく専業」の醸造所。夫婦二人三脚で挑むこの酒蔵は、お米でお酒を造るだけにとどまりません。一般流通には乗らない規格外の「野菜」や「果物」をまるごと使ってカラフルなどぶろくに変え、地域の農業に循環をもたらすという全く新しい挑戦を続けています。「世界のお酒の起源」とも言われるどぶろくの、自由でワクワクする楽しみ方と、若き醸造家の情熱に迫ります。

白い暖簾をくぐると、醸造家の日向勇人さんと咲保が出迎えてくれました。どぶろくのお酒に並んで器も! 奥には工房と角打ちができるバースペースもあります。

 

完全無濾過のお酒「どぶろく」

「どぶろくって何ですか?」と荒木さんが尋ねると、「清酒はお米が原料ですよね。ワインはブドウ。それぞれ原料が決まっているので、それを発酵させ液体だけを濾過して抽出しますが、どぶろくは農産物を全部お酒に変えます」と醸造家の日向さん。荒木さんが思わず「全部?」と驚いていると「そう全部。だから濾過工程が一切ない。完全に無濾過のお酒ですね」と醸造家日向さんが丁寧に説明をしてくれます。

人参のどぶろくはオレンジ色!そのラベルの可愛さにもリポーターの荒木さん白須さんが注目します。

 

酒造りからラベルまで手づくり

でじま芳扇堂のお酒は、ご夫婦の手によってそのすべてが造り出されています。「原料調達からボトリング、製品化まで全部私と妻でやっています」と話す醸造家の日向さんは、ボトルのラベルも奥様である咲保さんが彫った「消しゴムハンコ」を使い、一つひとつ手作業で押しているそう。 さらに店舗の奥に併設された工房へ特別に案内してもらいました。「おそらく日本で一番ちっちゃいんじゃないかと。まさにシルバニアファミリーですよ」と本人が笑うほどの超コンパクトサイズ。お米を蒸すのは四角い蒸籠(せいろ)、ガラス張りで太陽の光がたっぷりと降り注ぐサウナのような麹室では、3日間かけて丁寧に手作りの米麹が育てられます。「全部手仕事にしてしまえば、このスケールでも十分お酒ができるんですよ」。醸造家日向さんが、日本酒蔵で厳しい修行を経た確かな技術が、この小さな空間でのワンオペ酒造りを可能にしているのです。

「こんなにオープンな環境はない」と日向さんが誇る麹室は、太陽の熱源と光を利用した温かな工房です。

農産物を大切に頂く

「野菜がどぶろくになるってどういうことですか?」と白須さんが尋ねると、「農家さんで、美味しいけどちょっと形が悪いとか、ちょっと傷があるとか、ちょっと完熟しすぎたよとか、流通に向かない農作物っていっぱい出てくるんですよ。それを僕らが買い取りさせてもらい、リレーバトンになるよう『たすき』というブランドでお酒を造っています」と日向さん。さらなる挑戦として、長崎県高来町で栽培されている在来そばの製粉過程で削り落とされる「甘皮」を使ったどぶろく造りにも着手。「僕らみたいに消費される側だけでなく、農家さんに還元できる仕事が増えないとダメなんです」。地域産業の未来を見据えた真摯な使命感が、一本のボトルに詰まっています。

どぶろくが地域をつなぐものになれたらと、規格外の野菜などを使いお酒造りに取り組んでいます。

出島から発信するお酒がテーマ

「どぶろく『芳扇』は農家さんのお米をこの一本にするというやり方でお酒にしています。どういう人がどういう土地でどんな思いでこの農作物を作っているのか。やっぱり農家さんと二人三脚で造るお酒ですので、ラベルには名前を書かせてもらっています。」と日向さんが熱く語ります。荒木さんが、待ってました!と『芳扇 友』を試飲すると、「お米の甘みがすごく感じられて、鳥肌が立ちました!」と大感激。『芳扇 雷雲』を味わった白須さんは「非常にクリーミー!」と、食中酒のポテンシャルの高さに納得。  また、伝統野菜の黒田五寸人参や桃、茂木ビワを使ったカラフルなフルーツ系どぶろく『たすき』シリーズは、驚くほどデザート感覚。「えっ、これ人参の甘さ!?スムージーみたいで美味しい!」と白須さんも大絶賛するほど。食前や食後のリフレッシュタイムに最高の一杯です。

「鳥肌立った!甘みと酸味がすごい!」と、これまでのどぶろくの概念を覆す味わいに驚く。

 

心を繋ぐラブレターのようなお酒

「農家さんに行くと“これは神物にできるね”と言って一番いい農作物を分けてくれるんです。神物って神様に捧げるっていう意味ですね。そういう感性ってすごい素敵だなと思うんですよ」。 日向さんは、自分たちが造るお酒を“長崎の土地や風土を伝える、みんなと一緒に作ったラブレターのようなもの”だと例えます。農作物を育てた人の想い、自然の恵み、そして出島で吹き込まれた新しい命。それらが丸ごと溶け込んだ色鮮やなどぶろくは、長崎からの最も温かいメッセージとして、飲む人の舌と心をしっかりと満たしてくれます。

 

 

▶︎ 本編動画を見る(巡ろう、長崎の至福の一杯。酒マニア第15話)

 

 

でじま芳扇堂

でじま芳扇堂

長崎県長崎市出島町5-24

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