ぽっこりした根元の‟こぶ”が特徴の伝統野菜
雲仙市伝統野菜を守り育む会
代表
馬場 節枝
2024.1.15
大事に守り育まれた伝統野菜の美味しさ
雲仙こぶ高菜は、実は中国生まれの野菜です。戦後間もない昭和22年に雲仙市吾妻町で種苗業を営んでいた峰 真直さんが、大陸から引き揚げた時に持ち帰ったのが最初でした。その後、シャキッとした歯ごたえと美味しさが評判になり、盛んに栽培され全国へ広まっていきましたが、収穫量が少ないことや多品種と雑交しやすいために、本来の形質が失われていました。故に原種は存在しないとされていましたが、妻である峰 君江さんが亡き夫の意思を継ぎ、自家菜園で種を守り続けていたので、現在も伝統野菜として残すことができています。
植物本来の生命力を最大限に引き出す
雲仙こぶ高菜は、とにかく交雑しやすいという特徴があるので、畑は同一品種のみ、隣の畑に作物を作るのは絶対に止めています。他に心掛けているのは、やはり土作りですね。栽培するPH値もきちんと検査した上で栽培しています。当然のことながら農薬や除草剤、化学肥料は一切使いません。愛情を込めながら植物本来の生命力を最大限に引き出して育てた雲仙こぶ高菜は、採れたてそのままでもほんのり甘味があり瑞々しく、味付けなしでもとても美味しいんですよ!
雲仙こぶ高菜を、日本から世界へ
私たちの努力が実り、2005年にスローフード協会国際本部が進める「味の箱舟」計画に登録され、2008年に世界的権威のある国際スローフード協会の最高位「プレシディオ」に選定されました。この計画は絶滅の危機にある希少食材を世界共通のガイドラインで決定し、支援することでその生産と消費、そして食の多様性を守ろうというものです。実は、雲仙こぶ高菜は日本初の登録で、その支援もあって見事生産を復活することができました。その後もイタリアで開催されたサローネ・デル・グストという食の祭典にて展示販売を行い、その際も大好評でした。ゆくゆくは日本の代表的な食材となって世界へ羽ばたいて行って欲しいと思いながら生産を続けています。
ライター:さやぶぅ( ・38・ )/(#ナガサキタビブ)
雲仙市伝統野菜を守り育む会