キリシタンの里で守りぬかれた
清らかな伝統柑橘
JA長崎せいひ 外海築ゆうこう振興会
会長
帯山 安敏
2024.1.15
歴史の裏に隠されていた幻の果実
『ゆうこう』とはキリシタンの里で愛されてきた果実で、実に爽やかでまろやかな酸味とふくよかな甘みをもっています。地元だけで食べられていましたが、近年になって新種と判明したため、産地化を進めています。平成20(2008)年には伝統的な食文化を守る活動を行っているスローフード協会国際本部(イタリア)より、食の世界遺産「味の箱舟」にも認定されました。品質の一定化の為に『1本の原木』から接ぎ木で増やしているため、まだ長崎でしか出会うことの出来ない幻とも言える果実です。
収穫量を増やしながら、新たな使い道を
味を守ることを優先しているため、中々収穫量の増産が難しいのですが、昨今は加工原料として料理界に注目され、流通量が増えてきています。もっと安定供給が出来るように、生産者を増やして取り組んでいきたいですね。加工原料としてのゆうこうは味のまろやかさや酸味を活かして、料理の脇役やジャム、スイーツなどに使われる事が多いのですが、実は果汁に含まれるフラボノイドが抗アレルギー効果の高い種類だという事が分かりました。機能性食品に使用される可能性があり、新しい分野として『アロマ』や『化粧品』、ゆくゆくは花粉症対策などにも協力出来たらと思っています。
ライター:朝永武志(#ナガサキタビブ)