生産者への感謝の気持ちを忘れず
地元で愛される店であり続けたい

中華料理 優(まさる) 二代目

宮崎 優一朗

大久保 武志

宮崎 優一朗

中華料理 優(まさる) 二代目

2023.12.4

からし菜の辛味を生かした「辛青菜」、対馬地鶏の旨みを閉じ込めた「紙包鶏」

今回は「対馬地どり」や「雲仙の種取り野菜」などをメインの食材に使ってレシピを考案しました。前菜として作った「辛青菜(ラーズチンサイ)」は、「雲仙種採り野菜」に地元のブランド野菜「小串トマト」、クラゲ、自家製チャーシューなどを合わせて彩り豊かに仕上げました。からし菜のピリッとした辛味がアクセントになって、食欲を刺激してくれると思います。

「紙包鶏(ツーパオチー)」は、味付けした対馬地どりのムネ肉を油紙に包み、そのまま揚げています。こうすることで水分を含んだままジューシーに柔らかくなるんです。地どりの持つ濃厚な旨味も逃げません。

香ばしさがたまらない「宮保鶏丁」、食感の違いを楽しむ「清炒蝦仁」

「宮保鶏丁(コンポーチ)」は「対馬地どり」とピーナッツの炒め物です。甘味がありつつも、唐辛子で辛みを効かせたひと品です。下には島原半島産「デストロイヤー」という品種のじゃがいもを細切りにして焼き揚げ、器として使用。濃厚で優しい甘さのじゃがいもですので、「宮保鶏丁(コンポーチ)」との相性も抜群です。器ごと召し上がっていただくとさらにおいしいと思いますよ。本当はこの3品の予定だったのですが、せっかくの「雲仙種採り野菜」の茎が調理の際に余ってしまってもったいなかったので、さらに「清炒蝦仁(チンシャーレー)」を作ってみました。エビと春野菜、たまごの炒め物です。それぞれの食感の違いが楽しめると思います。

食材が良いから僕たちのカラーを少し入れるだけで充分

私の母親は雲仙市国見町の農家の生まれだったので、島原半島の野菜のおいしさは昔からよく知っていました。今回も野菜そのものが持つおいしさをうまく活かしたメニューにしたいと思い、食材に「雲仙種採り野菜」を選んでメニューを組みました。同時に使用した「対馬地どり」は長崎県唯一の地鶏で、臭みがなく、適度な歯応えと濃厚な旨みを持つ鶏肉です。鶏肉は中華料理によく使われる、なじみのある食材ですので今回取り入れてみました。

私たち料理人は食材がないと仕事ができませんから、生産者のみなさんには本当に感謝しかありません。「雲仙種採り野菜」も「対馬地どり」も、調理の際に特別なことをする必要は全くなく、食材そのものの良さを活かして僕たちのカラーを少し入れるだけでいいんです。それだけでおいしくなってくれます。

私が鍋を振るう「中華料理 優」は父の代から続く町中華の店で、50年以上地元に愛されてきました。今回、長崎食材にこだわって料理を組み立てる機会をいただき、改めて地産地消についての想いを深めることができました。これからも食材を大切にしつつ、一つ一つの料理と向き合っていきたいですね。地元の人たちに喜んでもらえる店を目指し、これからも歩み続けていきたいです。

右下から時計回りに、辛子青菜(ラーズチンサイ)、紙包鶏(ツーパオチー)、清炒蝦仁(チンツァシャーレン)、宮保鶏丁(コンポーチーティン)。

中華らしい大胆な調理の中にも、色合いの美しさ、食材同士の相性の良さが綿密に計算され、繊細さをも感じさせる4品。「雲仙種採り野菜」のみずみずしいおいしさや食感を活かし、さらに「対馬地どり」の旨みや歯応えも堪能できる珠玉のメニューです。

取材日:2023/3/9 ライター: 井川理恵子

中華料理 優(まさる)

中華料理 優(まさる)

住所:長崎県東彼杵郡川棚栄町54-11 電話番号:0956-82-3508

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