食材だけでなく、料理法や仕上がりにも
「長崎らしさ」が表現されたひと皿に
Chez Dejima(シェ・デジマ)
シェフ
堀切 章郎
2023.11.27
衣にも生地にも「ながさき黄金」!長崎のブランドジャガイモを存分に味わって
中華や長崎の郷土料理・卓袱(しっぽく)料理でなじみの深い「あじさい揚げ」を作ってみました。あじさいは長崎市の市花ですので、料理から長崎らしさも感じていただけると思います。通常は魚のすり身にサイコロ状の食パンを付けて揚げることが多いのですが、今回は衣と中身に「ながさき黄金」というジャガイモを使い、コロッケのような味に仕上げました。「ながさき黄金」は味が良いだけでなく、でんぷん価も高いので、茹でて練った時にもしっかりとまとまってくれます。揚げてもサクサクした食感が楽しめますよ。素揚げでも充分おいしいので、ジャガイモそのものの味も楽しんでいただきたく、フライドポテトを添えています。
「アジサイ揚げ」の中には「対馬地どり」の味や食感を生かした餡が
生地の中には、「対馬地どり」、タケノコ、クワイなどを使った餡を入れました。「対馬地どり」の深い旨みを生かしたくて、砂糖は加えずに「酒蔵・吉田屋」の純米酒「萬勝(期間限定酒)」と「百年甘酒」だけで甘味付けをしています。「対馬地どり」特有の適度な歯応えがジャガイモとも良く合うと思います。ソースはしめじのローストを入れたデミグラスソースです。コク深い味わいを「あじさい揚げ」と共にお楽しみいただきたいですね。
魅力ある料理を作り続け若手育成を目指したい
長崎には優れた食材が本当にたくさんありますよね。魚は新鮮なものが手に入り、種類も豊富です。ながさき和牛も全国的に高い評価を得ています。恵まれた環境の中で料理ができているのだなぁ…としみじみ思います。私が仕事をする上で心がけているのは、自己満足の料理になってしまわないこと。人に喜んでもらうのが本分ですので、自分の中に客観的な視点を置くことを忘れずにいようと思っています。料理界は今、他の業種と同じように人手不足の悩みを抱えています。未来ある若手の育成はこれからの大きな課題。ここ、「Chez Dejima(シェ・デジマ)」でも和牛の試食会や、食の展示会などいろいろなイベントを主催しています。そのようなさまざまな機会で料理の魅力を伝え続けていき、1人でも多くの人に興味を持っていただけたら嬉しいですね。
対馬地どり ながさき黄金のあじさい揚げ
長崎伝統の卓袱(しっぽく)料理のひと皿にも使われる「あじさい揚げ」。味・食感共に優れたジャガイモ「ながさき黄金」を使用し、可憐な花を咲かせました。中身の餡には対馬地どりがたっぷり。純米酒と甘酒だけで甘味を付け、鶏の旨みを生かしました。
取材日:2023/3/14 ライター: 井川理恵子