実は、私は農家で育ったので、物心ついた頃から畑に出て両親の手伝いをしていました。元々料理が好きだったので、就職は自然とその道へと進んだのですが、20代の頃はあまり食材に関心が無く「地元を離れ福岡で働こうかな~」なんて考えていました。しかし、オーガニック野菜を販売する雲仙の‟タネト”という直売所を通して有機農業者の方と繋がっていくうちに、自家栽培の大変さや野菜本来の美味しさを知り、食材に対しての価値観が変わりました。
インパクトがある雲仙こぶ高菜を「そのまま生で食べてみてん?」と言われた時は衝撃でした。今までの高菜はピリッと辛い印象があったのですが、馬場さんが作るこぶ高菜は、素材本来にほんのり甘味があるので味付けをしなくても美味しく食べられます。海・山・温泉といった豊かな自然に恵まれたこの場所は、日本ひいては長崎県内でも№1を誇る生産物が多く、魚介類や畜産物も豊富に揃っているため、料理人がのびのびと仕事ができる“食の街”だと思います。
今の課題は生産者の方にとって「売り方がわからない」ということです。できる限り無農薬・無化学肥料で愛情を込めて育てられた農産物の美味しさを、自分が手掛ける料理を通して、お客様に伝える役割を担っていきたいと思っています。ここ、雲仙市小浜町は地元の繋がりが深いんですよ…。なので、分からないことがあれば親身になって教えてくれる仲間や、採れたての新鮮な野菜をもってきてくれる生産者さんなど、たくさんの方に日々助けられています。今後は、雲仙こぶ高菜以外にも、ビーツなど地元食材を使用したお酒や、廃棄されてしまう野菜などを活かした料理などを使用し、観光のPRになるような意表を突くメニューを考案していきたいですね。
取材日:2023/3/16 ライター:さやぶぅ( ・38・ )(#ナガサキタビブ)