県北地区
多彩な海域
複雑に入り組んだ海岸線、点在する島々を有し多様な海域に囲まれた県北地区。海の個性が育む魚介と風土が織りなす美食がここに。

お食事処 海道
漁師飯から生まれた
鷹島の郷土めし丼
伊万里湾口に浮かぶ、約16㎢の離島、鷹島(松浦市)。かつてから鷹島では、漁師たちが「おとこやま」と呼ぶ丼料理を食していました。豊富に獲れる魚介の余りを“づけ”にして、ご飯にのせてかき込むといった、豪快な郷土めしです。これを鷹島独自のご当地グルメにすべく、地元商工会と料理店が力を合わせて生み出されたのが「魚島来(おとこ)めし」 。この名前には、おいしい魚を食べに島に来て欲しい、という願いが込められています。熱々のご飯の上に、旬の魚を3種類以上のせ、ごま醤油のタレをかけていただきます。お店ごとに特徴があり、何よりその日に獲れた旬の鮮魚で作るため、訪れるたびに違った組み合わせ、違った美味しさの妙が楽しめます。
地産のおいしさ
たっぷり
さらに特別な
魚島来めし
〈海道〉は、この鷹島でも40年近く人気を誇る食事処。「鷹島の食材を味わってほしい」と、海鮮だけでなく野菜やお米も鷹島産中心の食材でもてなしてくれます。〈海道〉の魚島来(おとこ)めしは、オリジナルのごま醤油。醤油にワサビと卵を溶いて、ゆっくりと全体にかけてなじませます。酢飯ではないご飯の温かさとやわらかい甘みが、醤油ダレと新鮮魚介の味わいとベストマッチ。大葉のさわやかさのアクセントも抜群です。思わず唸ってしまうほどの満足感をぜひ、一度試してください。さらにインパクトがあるのは「まぐろ入り魚島来めし」。鷹島のブランド魚「鷹ら島(たからじま)養殖本マグロ」を使っていて、こちらもおすすめです。
多くの島で
構成される県北
この場所だけの郷土飯
島の数が日本一の長崎県。県北地区にも、島が多く存在しています。その一つが、松浦市にある鷹島。もちろん、島だけに海の幸も豊富で、主産業として漁業が盛んで漁業従事者が多い地区です。また、かつて2度の元寇の戦いの舞台となった場所としても知られていて、歴史資料・史跡もたくさん。気候の良さも相まって、鷹島肥前大橋の開通後は、多くのドライブ客、ツーリング客が訪れています。この場所でしか味わえない、郷土料理たちが出迎えてくれます。
平戸西端夢浪漫 田平店
鮮度最強の
釣りたてのイカ
透明感と絶品食感を
味わい尽くして
取り扱う魚介の多くを、自社所有の船で朝から釣り上げているという〈平戸西端夢浪漫 田平店〉。中でもイカが自慢です。鮮度抜群のイカをさばいて仕立てる活き造りは、その先が見えそうなほどの透明感が特徴です。イカを含め、すぐに生け簀に泳がせ、注文が入ってから包丁を入れるので、この新鮮なイカが味わえるのです。春・秋はヤリイカ、冬場にかけてはアオリイカが楽しめますが、どちらも身厚で甘みがあり、噛んだ瞬間のコリコリの食感がたまりません!
おいしい魚が集まる
長崎本土
最西端の場所・平戸
広大な東シナ海の大海原と、心地よく流れる海風に包まれた平戸市。対馬海流によって潮の流れが速く、高級魚・ヒラメやクエのエサにもなる小魚たちが多く最高の漁場を生み出し、産卵期の脂ののった魚たちが集まります。そんな平戸大橋の近く、平戸瀬戸市場の目の前に位置しているのが〈平戸西端夢浪漫 田平店〉です。平戸で獲れた魚介や、それらの新鮮食材を使った自家製の加工品をたくさん取り扱っています。
アイデアあふれる
水産加工品たち
〈夢浪漫〉がオープンして10数年、多くの人たちに愛されているのには、理由があります。お店の隣に併設された直売所〈百旬館〉の存在です。こちらもまた、平戸産の魚介をたっぷりと取り扱っていて、工夫を重ねた加工品にも注目です。イカの活き造りや海鮮丼に始まり、塩辛やぶりまんじゅう 、さらには海鮮を使ったピザやおにぎりなど、多岐にわたります。おいしい料理を堪能した後は、おいしいお土産を。地元の人も観光客も、ぜひ足を運んでみてほしい場所です。
九十九島
島々を包みこむ
美しき海、
美しき景観
長崎県の北部には、景勝地「九十九島」があります。大小208もの島々が密集するこの一帯は西海国立公園に指定されていて、複雑に入り組んだリアス式海岸が形成されています。景観を楽しむ高台のビュースポットも多く、美しいオーシャンブルーと島々が織りなす姿は壮観です。九十九島の景観は、見る角度によってもその表情を大きく変えることでも有名です。展海峰 や石岳展望台 、弓張岳展望台 など、佐世保市内には「九十九島八景 」と呼ばれるポイントが。2021年に誕生した「九十九島観光公園」もオススメです。360度パノラマの眺望が楽しめる平戸市の川内峠では、前述の展望台たちの逆方向、東側へ広がる九十九島の姿が楽しめます。
庶民の料亭 ささいずみ
刺身もおいしい
理想のサバ
「長崎ハーブ鯖」
好漁場を有する県北地区で特にオススメするのが、ブランド魚「長崎ハーブ鯖」です。これまで刺身には不向きの食材だとされていたサバ。そこに、新たな一手を投じたのが、この「長崎ハーブ鯖」なんです。飼料に、ナツメグ、オレガノ、ジンジャー、シナモンといった4種類の西洋ハーブを配合したことで、サバ特有のクセのある臭みもなくなり、風味や日持ちもよくなった、理想のサバが生まれました。活造りのほか、しめ鯖やバッテラも用意されています。お土産用の冷凍しめ鯖として、〈ささいずみ〉の料理人が開発した「サバタベンバ」も。
多彩な海域の
恵みが織りなす
佐世保近海の海の幸
県北地区の中で、佐世保もまたおいしい魚が味わえるエリアです。複雑に入り組んだリアス式海岸と大小208の島で成る「九十九島」は景観の良さだけではなく、その独特の環境によって、唯一無二の生態系を育んでいます。この豊富な栄養に恵まれた漁場により、イカやヒラマサ、カキ、アワビ、ウニといった、多彩な海産物を味わうことができるのです。佐世保バーガーやレモンステーキ、ビーフシチューなど米軍基地由来のアメリカンなご当地グルメが多い印象の佐世保ですが、お魚県・長崎らしい、海の恵みにもぜひ注目してみてください。
百年超の歴史を持ち
今も愛され続ける
庶民の料亭
佐世保の中心部・四ヶ町商店街の入り口近くに店を構える〈ささいずみ〉。最大の特徴は、活魚車を使って近海各地・各漁師ごとの新鮮な海の幸を独自で仕入れしていること。毎朝仕入れるため、その日そのときの旬の味わいが楽しめるのです。店内には生け簀をたくさん設置していて、魚種ごとに管理。オーダーが入ってから捌いた、”最速鮮度”のおいしさでもてなしてくれます。〈ささいずみ〉は、もともとは酒屋を営んでおり、その一角で角打ちを始めたのが、“庶民の料亭”につながります。こうした歴史を持つだけあって、「お酒に合う」料理もお手のもの。
寿司割烹 魚徳
捨てるとこがない
捕鯨文化がもたらした
食の恵み
捕鯨文化が盛んだったころから、「捨てるところがない」と言われている鯨。ヒゲや皮、鯨油など、食用部分以外にも大変重宝されていました。鯨は魚類と異なり、哺乳類に分類されるので、牛や豚などのように、部位ごとに味や食感、脂の量など、その特徴が大きく変わってきます。〈魚徳〉では、「鯨肉を食べる機会が少なくなった今だからこそ、くじらのいろんなおいしさに出会ってほしい」と種類豊富に料理を取りそろえています。とにかくまず食べてほしいのは「鯨の刺身盛り合わせ」。「赤身」に「さえずり(舌)」、「ひゃくひろ(小腸)」、「胃ぶくろ」、鯨ベーコンの原料にもなる「うねす」、「ひめわた(食道)」の6種が楽しめます。
多彩な鯨料理の数々
より豊かで
今に馴染む味わいに
人気は、赤身肉を揚げ、地元産のタマネギなどと一緒に甘辛く煮込んで卵でとじた「鯨かつ丼」です。鯨の深いコクと旨みを残しつつ、敬遠されがちな独特のクセは取り払っている、絶妙なバランス感は、長年の試行錯誤の賜物。同じく赤身肉を使った「ユッケ」は、濃厚な味付けとまったりとした口あたりで、お酒との相性も抜群。卵を割って鯨肉と絡めて口に運ぶ瞬間、「幸せ」を感じます。そのほか、創作寿司や「大漁丼」と名付けられた海鮮丼など、鯨以外の海の幸メニューも豊富です。
長崎の食文化を
今に伝える
くじら料理が人気の
海鮮料理店
長崎県の特徴ある食文化の一つ「鯨」。かつて壱岐・対馬や五島列島、平戸などでは捕鯨が盛んで、古くから地域を支える一大産業として確立していました。現在でも、長崎県が鯨肉消費量のトップクラス に位置付けされています。東彼杵町は、その鯨の流通拠点にあった場所のひとつです。今でもその名残は深く、くじら料理を取り扱うお店も少なくありません。その代表格のお店が〈魚徳〉。そのぎICを降りてすぐ、JR彼杵駅より徒歩10分ほどです。
大村湾(千綿駅からの眺め)
木造駅舎と電車、
穏やかな海
3つが重なる
静かな絶景
長崎県のど真ん中に位置する大村湾。佐世保湾を通して五島灘につながってはいますが、外の海からの影響を受けにくく波が穏やかで資源も豊富、古くから「琴の湖」と呼ばれて親しまれています。この内海に似合うビュースポット、JR九州 大村線にある一駅「千綿駅」からの眺めは、多く人に愛されている絶景です。