長崎はおいしい食材の宝庫だから
「料理」と「食材」でどんどん活性化していけたらいい
Chez Dejima(シェ・デジマ)
代表取締役
坂本 洋一
2023.11.20
ソースなしのソテーで感じられる食材の本来の味わい
長崎のおいしいブランドジャガイモ「ながさき黄金」と「対馬地どり」を使って2皿の料理を作りました。今回特に意識したのは、素材の持ち味を全面に出すということ。「ながさき黄金と真鯛のソテー」では、衣代わりに細切りにした「ながさき黄金」を巻き、ジャガイモの風味と魚の旨味が同時に感じられるようにしました。長崎県はジャガイモの生産量全国第3位で、いろんな品種のジャガイモが栽培されているのですが、この「ながさき黄金」は私にとって特に思い入れが強い品種。かつて長崎県農林技術開発センター(雲仙市)にて、品種開発段階で見学させてもらったことがあり、品種登録された後に「ながさき黄金」を食べた時には、「あの時に見たジャガイモが、こんなにおいしい品種になったんだ!」と感激しました。濃厚な味わいだけでなく、加熱すると鮮やかなオレンジ色に発色するところも気に入っています。ソテーでは食材そのものの味を感じて欲しくて、今回はあえてソースをかけませんでした。下に敷いた海藻や、わずかに加えたトマトなどと一緒に召し上がっていただくと、塩分や酸味が加わって味に変化が生まれますよ。
「対馬地どり」の旨味や食感はベトナム料理にもベストマッチ
「対馬地どり」の優れている点は、身がしっかりしていて加熱しても崩れないこと。しかも地鶏特有のゴリゴリした硬さはなく、程よい弾力で食べやすいところです。もちろん肉の旨味も強いので、その味を逃さぬよう「カオマンガイ」を作ってみました。「対馬地どり」のモモ肉と調味料を米と一緒に炊き込むだけの、非常にシンプルな料理です。「対馬地どり」から滲み出すスープがご飯にも伝わって、何杯でもお代わりしたくなるおいしさですよ。私は無水調理鍋で炊き上げましたが、ご家庭の炊飯器でも充分です。ぜひ試していただきたいですね。
最高の食材と料理の両輪で地元長崎がますます発展していけたら
長崎は全国でトップクラスの食材王国だと私は思っています。今回使用した「対馬地どり」や「ながさき黄金」だけでなく、戸石のトラフグや「ながさき和牛」、「西海ポーク」など、生産量も品質も素晴らしいものがたくさんあります。ここ「シェ・デジマ」は長崎県庁内の食堂ということで、県内外問わず多くの人が行き交います。県産食材を使用したメニューを期間限定でご提供することも多いですので、ぜひ1人でも多くの方にお召し上がりいただき、長崎の食材の魅力を知っていただきたいですね。「食材」と「料理」の両輪を活用し、長崎がどんどん活性化していけたらいいなと思っています。微力ですが、私もそこで精一杯、力を尽くしたいです。
ながさき黄金と真鯛のソテー、対馬地どりのカオマンガイ
食材の持ち味がダイレクトに感じられる2皿です。「ながさき黄金と真鯛のソテー」は旨みたっぷりのジャガイモを衣にし、真鯛のおいしさを閉じ込めました。「対馬地どり」のダシをご飯に吸わせたカオマンガイも、ジューシーで箸が止まらなくなる味です。
取材日:2023/3/14 ライター: 井川理恵子